タイ珈琲紀行 TOKI農園を訪ねて
2026.01.31 _ TRIP
ブログを作り直してまた始めるなんていいつつ、新ブログ立ち上げたっきりまた3年くらい経ってた。嘆かわしい…。まあいいや。ひさしぶりの海外旅行でたくさん写真を撮りまくったんだけど、Instagramじゃ1投稿に20枚までしか写真を載せられないし、じゃあブログでやればいいか、なんて思いここへ戻ってきた。しかも本来想定してたこのブログの趣旨から脱線するもんだから急遽「TRIP」なんてカテゴリーをねじ込んで…。この際、まあいいんだと自分に言い聞かせる。
基本、すでに投稿済みのInstagramの大幅加筆修正版といったところだけど、ほぼ時系列に写真をただただ並べ、それに沿って思い出す限りのことをつらつらと書いていくだけ。ひたすら長い記事になり、まとまっておらず大変見にくいかもしれないけれど、もしよければ御覧ください。

1月15日〜22日の間、タイへ行っていた。私が焙煎を学んだ自家焙煎珈琲店の先生や生徒さんたちと行くコーヒー農園を訪れる旅だ。
今回は17日〜19日の2泊3日スケジュールで、タイ北部山岳地帯のとある村に滞在した。チェンマイからバンで何時間も揺られ、さらに4WDトラックの荷台に乗ってガタガタの赤土の道をまた1時間ほど。やっとたどり着いた所に山岳民族のカレン族が住むこのクンメールアム村がある。
この村にTOKI農園というコーヒーを栽培している農園があり、ここでコーヒーの栽培や収穫、プロセスの様子など見学させてもらったり、またカレン族の村の暮らしや食事などを体験させてもらった。




赤土のデコボコ悪路が続く


ゲスト宿泊用の建物
数人ずつに別れて部屋を当てがわれる
私はまた別の寝床なのだけれど…






どうやら絆を表す儀式のようだ
人里離れたクンメールアム村の夜は暗く、夜空を見上げれば満天の星。ここでの夜は晩秋か初冬くらいの寒さになるが、あたたかい焚き火を囲み、農園主のTOKIさんとともにみんなで楽しい晩餐の時を過ごした。



まさにここは遥か彼方にある場所だ







昨夜は暗くて山積みのチェリーに気付かなかった



コーヒーチェリーから果皮と果肉を剥ぎ取る機械






お粥におかずを乗せて食べるスタイル
日本人好みな味付けで美味しい

2日目のスケジュールの目玉となっているのが、実際にコーヒー農園でチェリーを収穫する体験。農園は山道を歩いた先にあり、標高も村よりまた少し高い。






山の奥の奥、木々をかき分け入ったところにコーヒー農園はあった。農園といっても山の斜面にコーヒーノキがわりかし無秩序に植えられている感じ。周囲は森になっており、これがいわゆるシェードツリーとなって、そのお陰でコーヒーノキはきつい直射日光を避け、木漏れ日が当たる程度の環境におかれている。


コーヒーは長らく好きだが、生まれて初めて触れるコーヒーの実。そしてもちろん食べるのも初めて。味はほのかに甘酸っぱくてさくらんぼに似ている。果肉は薄くてほとんど食べるという感じではないが、口の中でそれを剥がすとそのすぐ下はヌルヌルとした層になっている。これがミューシレージ。知識としてコーヒーの実の構造は知っていたが、知覚をもってしみじみと実感した。


午前中の収穫体験を終えると、農園の近く、山の中を流れる清流のほとりで食事。竹を使った調理や盛り付けでとても野趣溢れる食事の時間となった。





竹のサーバーというのがまたワイルド
だいぶ竹の味がするコーヒーだったがそれもまた一興


一旦村へ戻って午後からはチェリーの乾燥の様子を見学。プロセスの違いとして、ウォッシュト、ドライ(ナチュラル)、ハニー、アナエロビックなどに分かれている。アフリカンベッドに広げられた乾燥中のものを見たり触ったり、これも初めての生の経験。






いわゆるナチュラル




パーチメントの外側にミューシレージ(粘液質)を残したままの状態
そして一度除去したカスカラ(果実と果皮の部分)も少し混ざったまま一緒に乾燥させている
ミューシレージが残ってるせいでネチョネチョしている


2日目の日程は盛りだくさんである。乾燥工程の見学から戻ったら、次は手回し焙煎機を使ってみんなで焙煎をした。熱源としてカセットコンロを使う。こういう類のものは私も以前使っていたことがあるのだけれど、その時のものに比べると釜はかなり分厚かった。この分厚い釜のせいか、焼くのがなかなか難しく、ちょっとムラを作ってしまった。私が焼いた豆は Full Moon と名付けられた豆で、なんでも満月の日に収穫される豆らしい。



日が暮れるとまた焚き火のまわりで食事をし、夜が更けるまでみんなで楽しく話しながらすごした。布団に入ると山歩きの疲れもありほとんど一瞬で眠りに落ちた。

ちなみに、これが私が二晩寝泊まりした寝床。ベランダに屋根が付いた程度の場所で窓はなくがら空きになっていて外気に晒された部屋。ここにコーディネーターのお二人と私、3人で夜を過ごした。フリースやらダウンやら着込んで布団をかぶれば思ったほど寒くなく意外に快適だった。そして、そんなことよりも、窓や壁がないことで、美しい星空を視界いっぱいダイレクトに眺めながら眠りにつくことができるこの寝床、何ものにも代えがたい幸福感を得られたなあ。




みんな前日に手回し焙煎機で焼いた自分の豆をドリップしていた


30代前半くらいなんだって。若い

この村ですでに標高1000mを超えている



なんと3歳でコーヒーをドリップしている
これがふつうにおいしいの


タイの桜は今がシーズンらしい
桜だなんてこれまたなんだか日本っぽい
朝食を済ませると、今度は収穫後のコーヒーチェリーのプロセスについての見学。パルパーという機械で果皮と果肉を除去する。


虫食いとか未成熟だったりする



これをカスカラと呼ぶ





一連の流れを見せてもらったのはハニープロセスのやり方なんだけど、まずは剥がした果皮・果肉を、そして次に豆の部分を、順にバケツに投入し、さらにイースト(乳酸菌と酵母?)を入れて手で混ぜる。これで蓋をし、4日くらいかけて発酵させるのだそうだ。



プロセスの見学が終わると、荷物の準備をしてそろそろこの村を出発する時間になる。2泊3日の日程で過ごしたクンメールアム村とのお別れの時間。







短い間の滞在だったけれどなんだかぎゅっと詰まった日々だった。栽培や収穫、プロセスや乾燥の工程など、コーヒー豆の生産についてたくさん学ぶことが多かったのはもちろんだけど、それだけではなく、この村の人々や暮らし、文化や自然、触れるものすべてにおいて新鮮で、けっして必ずしも文明的とは言えないけれど、その不便さがどこか心地よく、そしてなぜだか懐かしさも感じてしまう。個人的なことを言うと、ちょっと母の故郷に似ている気がして不思議な感覚だった。
TOKIさんがこう言っていた。
「私たちが今日会うのは、私たちが以前兄弟だったからだと信じています」
この旅でTOKI農園に居合わせた人たちみんな、不思議な運命で結ばれていたのかも知れない。出会うべくして出会った者同士だった。そしてそれはこの旅に限ったことではない。私がコーヒーを好きになったのも、みさご珈琲で焙煎を学んだのも、自分が珈琲屋になったのも、全部必然だった。たぶんこれまでの、そしてこれからの、自分の回りのいろんな関係にもそれは言えることなのかもしれないな、などとも。
ちなみに、最初の日の夜に、客人全員の手首に結んでもらった紐、私はまだそのまま残している。なんか切ってしまうのが勿体ない気がして。

さて、カレン族の村で滞在中の写真をこの投稿でやっと存分に吐き出せたのだけど、チェンマイを歩いて撮ってきたやつとかまだまだある。また別の記事で書こうか。ちょっと億劫ではあるけどせっかく撮りまくって帰ったしね。次の投稿は何年後になるだろうかな…なんて(笑)
TOKI農園のコーヒー生豆もすでに手配済みで、Toki Galayani Dry Full Moon というのがたぶん夏あたりに入荷できる予定。私たちが収穫した豆も含まれてるロットだと思う。美味しいタイのコーヒーをたくさんの人に提供できたらうれしい。

